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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【サンヤツデイリー #2】春の一日~『蕪村全集』

30 自在眼鏡の本棚 36 古典

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『蕪村全集 第1巻 発句』(講談社)。

春の一日(いちじつ)をあらわした一句といったら、ぼくにとってはこれ。

なの花や月は東に日は西に

安永3(1774)年、蕪村59歳の作です。
蕪村が、現在の神戸市灘区にある六甲山地摩耶山を訪れたとき菜の花栽培地帯を詠んだものだそうで。
春の日の、空に太陽と月とが同時に浮かび、世界が均衡合一したような広がりのあるイメージを喚起させます。

蕪村には、他にも菜の花を詠んだ句がたくさんあります。
「菜の花を墓に手向けん金福寺」
「菜の花や遠山どりの尾上まで」
「菜の花や油乏しき小家がち」
「なの花や昼一しきり海の音」
「菜の華や法師が宿を訪はで過ぎ」
「なのはなや笋(たけのこ)見ゆる小風呂敷」
「菜の花やみな出はらいし矢走船」
「菜の花や鯨もよらず海暮ぬ」
「菜の花や和泉河内へ小商」
「菜の花や壬生の隠家誰々ぞ」

この全集、まともに購入すれば定価9800円ですが、ぼくは2000円くらいで手に入れました。
春風に誘われて句を口にしてみるのも、一興。

戯れ、たわむれ。
春だもの。