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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【本棚らじお。セレクション】『坊ちゃん』へのオマージュ ~小林信彦『うらなり』を読む

30 自在眼鏡の本棚 33 小説・創作 39 本棚らじお。

らじおトークセレクション、お送りします

那古野のホンちゃんと武蔵小椙のブンちゃんが、ほぼ行き当たりばったりで文芸シーンをダベる文藝駄話「本棚らじお。」。

  • 「本棚らじお。」

http://www.voiceblog.jp/hondanaradio/

4回目は、小林信彦の『うらなり』(文春文庫)です。
本棚らじお。 : 第141回「小林信彦『うらなり』」の巻

タイトルの「うらなり」というのは、先週ご紹介した『坊ちゃん』に登場する、松山の学校の数学教師ですね。
なんだか覇気がないので、坊ちゃんが「うらなり」と彼にあだ名をつけたんです。

この小説は、そのうらなりを主人公にして、30年後に銀座で堀田こと山嵐と再会する小説です。いわば、『坊ちゃん』の後日譚、「その後の『坊ちゃん』」というわけです。
30年後というのは、昭和のはじめです。あることで上京したうらなりは、山嵐と銀座のビアホールで再会し、そこから松山での「あの出来事」、つまりは『坊ちゃん』のエピソードをふたりで回顧していきます。

ふたりの会話は、いわば坊ちゃん自身が語り手だった『坊ちゃん』のエピソードの「裏取り」であり、解釈です。
この小説を読んで確認できたことは、やはり『坊っちゃん』という小説は、痛快な青春小説でもなく教養小説でもないということであり、坊ちゃんは機微の解らない人物だということです。
『うらなり』という小説自身が小林信彦さんの「坊ちゃん論」になっているんですね。

でも、小説としてもうまい結構ができていて、最後の一行には、はっとさせられます。
さすが、エンタメ小説も手かげてきた小林さんならではの巧さであります。
こういう作品に出会うと、小説っていいなあと感じますね。

【キーワード】
坊っちゃん』後日談です/小林信彦さんはコラムニストとして有名ですね/『面白い小説を見つけるために』は面白い/巻末に「創作ノート」がついてます/うらなりと山嵐が銀座で再会する場面から始まります/小林さんなりの『坊っちゃん』論ですね/ラストでがらっと暗転します/(収録時間:約20分)

うらなり

うらなり


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