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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

神様から愛された男 ~バルミューダ社長・寺尾玄さんの「ほぼ日」対談を読んで

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芥川賞直木賞銓衡会が終わって、アタリハズレ関係なく、いささか脱力しています。祭りの後はそんなものでしょうか。
こういうときには、適当にネットサーフィンをして、目についた記事を眺めたりしています。

そんななか、たまたま目にしたのが、この記事。ほぼ日なので、みなさんよくご存知かもしれません。
バルミューダという、主に家電商品をつくっている会社の社長・寺尾玄さんと糸井重里さんの対談です。
www.1101.com

これが、じつに面白い!
なんだ知らなかったのかと笑われそうですが、ええ知りませんでしたとも!
思わず引き込まれる対談です。

対談では、寺尾さんがなぜバルミューダという会社を立ち上げたのかという半生や、会社ができてからの製品を送り出すまでのご苦労が語られているけれど、寺尾さん、キャラが立ってますね。
もともとロックミュージシャンを目指し、プロデビューもしたんですけど、とにかくうまくいかなくなって、仕方なくものづくりをはじめたとか。ものづくりも自分自身ででやってみて、そんなに苦労せずにものができちゃうんですよね。ある意味、もともと器用な方なんだと思います。

連載7-8回あたりで、バルミューダがつくった扇風機のエピソードがでてきます。ぼくが知っているくらいですから、余程人口に膾炙したんでしょう。

バルミューダがうまく行かなくなって、もう駄目そうだから、思い切ってやりたいことをやって前のめりに倒れようと、寺尾さんは扇風機をつくる決意をします。ひとまず扇風機の画期的な「風」をつくる羽根はできた。

しかしそれを製品にする資金がない。だいたい6000万くらいかかるらしい。
まわりは「その羽根を持って、大手電機メーカーへ行け」と薦める。

たしかにその手は、ある。
でも、彼はそうしなかった。

なぜか。

私は出がロックバンドだから、
「すっごくいい曲できたのに、
アイドルに売ってどうすんだ」
という気持ちに、当然なります。

ここんとこ、うわって鳥肌立ちました。カッコいいじゃないですかあ。

ですからパナソニックには行かず、銀行に行って、
「6000万円貸してください」と言いました。
「バカですか」と言われて、
「そうですよね」と、帰りました。

椅子からずり落ちましたよ、あたしゃ。
小説のようにはコトはうまくはそうそう運ばないとはアタマで理解しつつ、このくだりはね、行間がにじみますよね。

で、彼がそのあとどういう行動をとったか。
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彼の行動は一見すると、突拍子もないんですが、とる行動がいちいち「彼らしい」んですね。
すごくヘンな言い方ですが、無理してないって感じです。少ないリソースで効率よくという見方もできますし、論理的だということもできるでしょう。
でも、ぼくはそういう理解よりも、彼の振る舞いに生来のキャラクタの自然さがでていると強く感じたんです。

だから、「救いの手」が延びてくるんじゃないかと。

この人は神様に愛されているんだなあと、読みながら感じたのです。
恩寵はいろいろとかたちをかえて、彼の両肩をつつんでいるんですね。

www.balmuda.com