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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【#215-2】抽象化とユーモアの精神で

30 自在眼鏡の本棚 31 たまビジ(「たまにはビジネス書も読むわよ」)

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昨日の投稿では、書いている脳と手が思わずうわずって、本を紹介したはずが、著者のプロフィールも内容にも触れていないという、お間抜けな体をさらしたのでした。
thx.hateblo.jp

著者の丸山さん、失礼しました。

というわけで、今日も引きつづき、この本の話を少しさせください。

この本というのは、丸山俊一『すべての仕事は「肯定」から始まる』(大和書房)です。

すべての仕事は「肯定」から始まる

すべての仕事は「肯定」から始まる

装幀は、寄藤文平さん。白地に文字しか置いていない、とってもシンプルで軽快な装幀ですが、白抜き文字とスミ文字をうまく配置した上品なデザインですよね。

著者の丸山さんは、NHKのプロデューサー。
「ニッポンのジレンマ」「ニッポン戦後サブカルチャー史」「仕事ハッケン伝」「爆笑問題のニッポンの教養」「英語でしゃべらナイト」等の番組をプロデュースした方です。
どれもちょっとクセがあるけど、ニヤリ( ̄ー ̄)とできる番組ですよね。

本については、書評もあったので載っけておきます。仕事論でもあるし、社会論であるといっていいと思います。教養論といっていいかもしんない。
www.sankei.com

昨日からえっちらおっちら読み進めていますが、表紙の返しに「若手必読」とありますけど、この本、正直言って読むのにちょっと歯ごたえがあります。
要するに、抽象的なんです。
なので、若い方というより、初老を過ぎたくらいのオッサンが読むのにちょうどよい具合なのではと感じています。

年をとると、とったなりに、スルメの噛み方味わい方というのは体得しているもんなんですわ。

いくつか気になったフレーズを拾っていきたいところですが、ぼくがこの本で刮目したのは、抽象と具体を比較しつつ、抽象への昇華の必要性を唱えているところです(じつはもっとたくさんあるんですけどね)。

いたずらに「具体的」なものにとびつくよりも「抽象的」に思考すを展開することが大事です。そしてさらにいえば、仕事とは、抽象と具体の狭間にあるジレンマと向き合うこと、だと思います。
抽象と具体に引き裂かれながら、感じる、考える。そしてそのジレンマをむしろ楽しめる、喜びの共有。
<中略>
これからの時代に必要なのは、知識ではなく知恵、センス、発想力である。

として、つづいてMITメディアラボ所長・伊藤穣一さんの言葉を引いています。

世界の変化のスピードがこれだけ速くなると、<地図>はもはや役に立たない。必要なのは<コンパス>です。そして素直で謙虚でありながら権威を疑うことなのです。

抽象化という言葉は、戦後すぐ「思考の濾過器」という言葉で笠信太郎があらわし、伊藤穣一さんが「コンパス」と言い換えた。そして、外山滋比古さんは「飛行機型人間」という言葉をつくった。この言葉がでてくる『思考の整理学』という本はさいきん東大、京大でもっとも読まれた本として紹介されました。

最後に著者はこう言って締めくくります。

抽象的に考えることの大事さは、時代を越えて認識されるべきものであり、この俯瞰して物事を眺めることができる精神こそ、養うべきものだと思います。そして俯瞰して眺めることで、すべてが相対化して見えるようになり、自然とそこに笑いの精神も生まれます。抽象化とユーモアの精神が、自由な思考を保証し、新たな展望を開くのです。

最後の2行には、ぼく自身、大いに共感しています。
抽象化とユーモアの精神。

ぼくの自由画帖も起業も、この精神で臨みたいと、素直に思いました。