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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【ブックブレイク #7】またまた登場、鈴木敏夫『仕事道楽』!

10 武蔵小杉読書会 98 ブックブレイク

鈴木敏夫『仕事道楽 新版』(岩波書店)。

10/24(土)開催の、「ブックブレイク 秋」、第3部(夕方の部)15:00-16:30 の課題テキストのひとつです。
この本については、以前投稿していました。thx.hateblo.jp

もうひとつ。thx.hateblo.jp

こんな投稿もしていました。thx.hateblo.jp
thx.hateblo.jp

上記以外にも「鈴木敏夫」で、このブログ内を検索してもらうと、けっこう関連記事がでてきます。

自分で言うのもなんですけど、ぼく、この人、好きなんですよ、きっと。

ジブリの「プロデューサー見習い」(もう終わったのかな)をしている、ドワンゴ川上量生もどこかで言っていたと思いますが、傍にいてずっと話を聞いていたい人ですね。
ちなみに、ぼくにとってのこういう「ずっと話をきいていたい人」というのは、他にふたりいます。その方たちは、ひとりは雑誌の編集長で、もうひとりはジャーナリスト。ご両人とも、まあ、よくしゃべるしゃべる。面白いし、聞き手を飽きさせない。いうところの「雑談の名手」ってやつです。
ぼくもゴシップと事件は大好きという「井戸端会議体質」ですが、このふたりの足下にも及びません。いや、こういう方たちの前では聞き役に徹するのがお互いにハッピィです。

*

という駄話はさておき(これまでの投稿でこれでだいたい言い尽くしているんじゃないかしら(笑))、今回のブックブレイクでのために再読してみましたが・・・
やっぱり、鈴木さんは面白い!
ということは再確認できました。

前半は、ジブリのクリエイターたち、宮崎駿高畑勲、そして彼らを支えた徳間康快らとのエピソードが並んでいます。
そのあとに、鈴木さん自身の仕事を総括するようなかたちで、仕事の話、会社経営の話、映画の話、プロデューサーという職種の話などがつづいてきます。鈴木さんの仕事を理解するためには、前半部分の把握は必要ですし、そのためにInaさんにはいくつかテキストや映像をあらかじめ見ていただきました。

再読したあとのドッグイヤー(ページの端を折ること。つまり気になった箇所を記録していくこと)を後からながめていくと、けっこう魅力的なフレーズや考えが浮かんできます。

彼(宮崎駿のこと:引用者註)はよく「企画は半径三メートル以内にいっぱい転がっている」と口走ります。彼のあの豊かな発想はどこから生まれるのだろうと、みな興味津々だと思いますが、じつは彼の情報源は二つしかない。友人の話、そしてスタッフとの日常のなにげない会話です。
宮さん(宮崎駿のこと:引用者註)はこう言うんですよ、「ジブリで起きていることは東京でも起きている。東京で起きていることは日本中で起きている。日本中で起きていることはだぶん、世界でも起きているだろう」と。

宮さんがいつも言う映画づくり三つの原則があります。
「おもしろいこと」
「作るに値すること」
「お金が儲かること」
映画とはまず、おもしろくなければならない。次に、いいテーマでなければいけない。最後に、商売なんだからちゃんと儲けなければいけない。。。

もともとジブリは、宮崎駿高畑勲の映画を作るために立ち上げた会社です。やりたいことをやるために、会社を作った。でも、一方でジブリ作品がこれだけの実績を作ってくると新しい可能性が見えてくるし、また一方で会社として動きはじめると経営という問題がいやおうなく浮上してくる。このときどう考えるか?
ぼくの答えは簡単です。「いい作品を作るために、会社を活用できるうちは活用しましょう」。これに尽きます。

新しく最後に追加された一章のなかで、鈴木さんがつい本音を言っているところが、いやあ人間くさくていいですね。これは『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』が公開され、宮崎産が引退した後に書かれたようです。

二人にはとことん好きなものを作ってもらう、ぼくはそのことに徹しました。お金も用意したし、期間も用意しました。ぼくとしてはこれで、宮さんも高畑さんにもお世話になったけど、借りは返したかなという気分です。あまりお金のことを言いたくないけど、二本で一〇〇億ですからね。前代未聞なんですよ。さすがに関係各社もみんな青くなって、「回収はどうなるんですか?」と訊いてきました。そんなこと知ったこっちゃない。宮さんも高畑さんも思いの丈をすべて注ぎ込んで作った作品なんだ、おまえら世話になっただろうが、というのがぼくの内心の声です。

ある人の表現ですが、宮さんはエンターティナー、高畑さんはアーティストという違いがあるという。そうかもしれません。でもその違い以上に重要なのは、二人ともある種の理想主義者だということです。その理想主義者二人とずっとやってこれたのは、ぼくが現実主義者だったからだと思いますね。ぼくはいつも割り切ってクールに処してきたから、長きにわたっていっさしょにやれた。高畑さんから言われたことがありますよ、「生涯会ったいろんな人のうちで、鈴木さんがいちばんクールだ」と。

この言葉で思い出すのは、「誰とバスに乗るか」というフレーズ。
何をやるかではなく、誰とやるか。
とどのつまりは人の話になりますが、ここのところ引っかかっているフレーズではあります。

ああ、引用がとんでもなく多くなりました。
でもとにかくいろいろと語りたい一冊であることは確かです。

積ん読王の「ブックブレイク」は、10/24。
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