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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【書架#187】早川義夫『たましいの場所』のタイトルに、いい意味で裏切られたぜ

30 自在眼鏡の本棚 34 エッセイ・コラム・散文

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早川義夫『たましいの場所』(ちくま文庫)。

タイトルを見たら手にしない本だが、早川義夫さんの本なら別。きっと裏切らないエッセイだから。でも、積ん読だけどね。がはは。

表題のエッセイ、いい意味でタイトルを裏切っている。

生まれて初めて、被告にされてしまった。一番上の兄から、母の遺言が無効であるとして、訴えられた。

とはじまる。
兄の頑なさ、母親とのすれ違い、彼らとの行き場のない相容れなさへの救いを亡くなった父親に密かに求める。

その父親も母親も、自分との気まずさは解消されることなく、逝ってしまった。

言葉は、喋れる人のためにあるのではなく、もしかしたら、喋れない人のためにあるのではないだろうか。自分の都合のいいように、「自分の意見」を言うためににあるのではなく、「正しいこと」「本当のこと」を探すために、言葉はあるのではないだろうか。

死んだ者に対して、生きている者ができること、それは彼らのことを忘れないこと、彼らの言葉を覚えていることだ。
それが「正しいこと」「本当のこと」を探すことにつながるのかもしれない。

たましいの場所 (ちくま文庫)

たましいの場所 (ちくま文庫)