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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【明日への本棚 #146】 細谷功『具体と抽象』でわかった、学校で習った数学が大事なわけ

30 自在眼鏡の本棚 31 たまビジ(「たまにはビジネス書も読むわよ」)

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細谷功『具体と抽象』(dZERO)。

「具体」は解りやすい。
「抽象」ってのは、解りにくい。
というのが、世間の一般的な印象であります。
もっと単純に言うと、抽象というのは解りにくいので実践的でなく、否定的な意味が含められてもいるように見受けられます。

これほど役に立ち、人間の思考の基本中の基本であり、人間を人間たらしめ、動物と決定的に異なる存在としている概念なのに、理解されないどころか否定的な文脈でしか用いられないのは非常に残念

と著者はいいます。
そして、この本で「抽象」の「市民権を取り戻す」と言いきっています。

かといって、「具体」と対決するわけではない。
要するに、セットで考えなければならない。
そのためのステップとして、「抽象」のモデリングをコラム風に紹介しながら、あるいは両者のあいだの往復運動が必要だと説明していきます。
さらには、「見える人」(抽象化の思考をする人)と「見えていない人」(具体化の思考をする人)とのコミュニケーションギャップの解消にも役立てようと。

抽象化のモデルというのは、たとえば、デフォルメがあります。似顔絵とか物まね。対象の本質を掴んで枝葉を捨てる。
あるいは、数字と言葉。哲学。法則とパターン認識。アナロジー(類推)、ベクトル。。。

あれれ、もう引いてませんか。

「抽象化なくして生きられない」からスタートしたこの本は、しかし「抽象化だけでは生きにくい」ことも示してくれます。
前述しましたが、「抽象化」は「具体化」とのセットになって、はじめて有効に機能すると。

福沢諭吉は「高尚な理は卑近の所にあり」という言葉を残しています。まずは徹底的に現実を観察し、実践の活動を通して世のなかの具体をつかみ、それを頭の中で抽象化して思考の世界に持ち込む。
そこで過去の知識や経験をつなぎ合わせてさらに新しい知を生みだしたのちに、それを再び実行可能なレベルにまで具体化する。これが人間の知とその実践の根本的なメカニズムになると考えられます。

コラムはひとつが数ページで読みやすいです。章のテーマをマンガで描いたのもよろし。
物事の整理にあたっては、ちょいと眺めるだけでもヒントがもらえるかもしれません。

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