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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【明日への本棚 #145】『作家と珈琲』を読んで口ずさむ、ネスカフェゴールドブレンドのうた

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『作家と珈琲』(コロナ・ブックス)。

作家「の」珈琲ではなく、作家「と」珈琲ね。

池波正太郎中上健次井上ひさし安岡章太郎藤田嗣治石井好子安西水丸茨木のり子植草甚一・・・まだまだつづく。
表紙は松本清張だった、うっかり。
高倉健もコーヒーカップ片手に登場するが、作家というのはご愛敬だろう。

作家とかたわらに珈琲、そしてコーヒーにまつわる一文が添えられたヴィジュアルブック。そして、作家にゆかりのある人たちによって、故人とコーヒーの思い出が語られている。
なべて、コーヒーの記憶は昭和と結びついている。
雨の休日の朝、つい読んでいる方も、コーヒーカップを探してしまう。

茨木のり子の詩を一編、読んでみる。

ふとつぶやいたひとりごと
あら
映画の台詞だったかしら
なにかの一行だったかしら
それとも私のからだの奥底から立ちのぼった溜息でしたか
豆から挽きたてのキリマンジャロ
今さらながらにふりかえる

米も煙草も配給の
住まいは農家の納屋の二階 下では鶏がさわいでいた
さながら難民のようだった新婚時代
インスタントのネスカフェを飲んだのはいつだったか
みんな貧しくて
それなのに
シンポジウムだサークルだと沸き立っていた
やっと珈琲らしい珈琲がのめる時代
一滴一滴したたり落ちる液体の香り

静かな日曜日の朝
食卓に珈琲の匂い流れ・・・
とつぶやいてみたい人々は
世界中で
さらにさらに増えつづける   (茨木のり子「食卓に珈琲の匂い流れ」より)

この本の装幀でいくつか指摘したかったが、それは野暮だとコーヒーを淹れにいく。
そして口ずさむ、この曲。
「めざめ」 伊集加代 ~ネスカフェ ゴールドブレンド CMソング~ - YouTube

作家の珈琲 (コロナ・ブックス 202)

作家の珈琲 (コロナ・ブックス 202)