読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【折々の本棚 #121】村上春樹『羊をめぐる冒険』(全作品集版)は、やっぱり月報に目がいってしまう

f:id:zocalo:20150530072601j:plain

村上春樹羊をめぐる冒険』(講談社)。

愛憎のもとい愛蔵の、全作品版を引っ張ってきたのは、来月の友人が司会をする読書会のテキストがこれ(全作品版というわけではないです)というので。
装幀は和田誠。表紙に「切手」をあしらったデザイン画が一枚貼ってあるだけのシンプルさ。

この作品集は第1期と第2期とがあって、前者は1979年~1989年、後者は1990年~2000年までの作品を収録している。
羊をめぐる冒険』はもちろん前者。

全集というものには、一般的に「月報」という冊子がついてくる。連続して刊行される出版物に、別刷として添付される印刷物を総称するらしい。
この全作品集にも月報は挟み込まれていて、村上春樹自身が「自作を語る」という内容だ。
ぼくはこの月報シリーズが大好きで、刊行されるたびにテキストより先に読んでいた(でもそういう人は多いと思うけどね)。

この『羊』の月報タイトルは、「新しい出発」。
群像新人文学賞をとったあと、ジャズバーを経営していた村上春樹が、本腰を入れて(店も手放し、引っ越しをした)、つまりは専業作家として取り組んだ最初の作品だ。時に村上春樹32歳。
・・・なんてことがエピソードとして書かれている。

彼自身、若くて力も未知数だし専業作家はリスクが高いと周りから言われた。
けれど、

もっと良い環境で自分の力をきちんと試してみたいという気持が強かった。

駄目なら駄目でそこでまた同じような商売を始めりゃいいさと思っていた。まだ若かったし、どこでだって食べていくくらいはやれるという自信はあった。

この月報だけを集めた文庫本をつくってくんないかしら、たとえば講談社文芸文庫あたりで、ねえ。

村上春樹全作品 1979?1989〈2〉 羊をめぐる冒険

村上春樹全作品 1979?1989〈2〉 羊をめぐる冒険


積ん読王第2回目のブックブレイクはこちらからです。

fantasieimage.jp