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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【折々の本棚 #118】ルナール『にんじん』は、毒薬か劇薬かってなくらいの衝撃でした

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ルナール『にんじん』(新潮文庫)。

いつか紹介しようと思っていたのだが、つい先送りしてしまっていた、ジュール・ルナール『にんじん』。小学校の課題図書などでおなじみではありますまいか。
みなさんは読まれたことありますか? あるいは手にされたことは?

不肖・積ん読王はこの歳まで未読でしたが(ま、積ん読王ゆえに)、新訳がでたことをきっかけに手にしてみました。少し厚みがありますが、短いエピソードの連なりです。

『にんじん』というと、赤毛の男の子(かれのあだ名がにんじん)がみんなにいじめられながらも逆境を乗り越えて成長していくという、「いじめに負けるな」といったテーマの正統派児童文学かと、勝手に思っておりました。
この新訳を読むまでは。

まず、にんじんは坊主頭なんですね。それで赤毛でいじめられる??
それからなんと言っても、「猫殺し」と「もぐら叩き」の章があります。猫は拳銃で殺します。ともに数ページの短いエピソードではありますが、ちょっとどころか、かなり衝撃的な内容です。

そこに到る背景には、実母からの家庭内いじめがあります。もう陰湿としかいえない話。そして、にんじん自体は彼女を責めるのではなく、自分が悪いのだと思いこんでいます。
では、父親はどうなのか。彼は仕事忙しさにかまけて、にんじんの訴えに面と向かおうとしません。その態度に対する、にんじんの怒りが最後に爆発するのですけれども。

さてこの話は、まともに小学生とかに読ませていいものだろうか。
ぼくは、はたと立ち止まりました。
訳者は、訳しつつ、涙を流すこと幾度もだったらしいです。

まず親御さんから、読んで頂いて判断してみてもいいかもしれません。
毒薬か、劇薬か。
ほんと、衝撃的ですから。

にんじん (角川文庫クラシックス)

にんじん (角川文庫クラシックス)

にんじん (新潮文庫)

にんじん (新潮文庫)


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