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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【折々の本棚 #111】 沢村浩輔『夜の床屋』こそ、奇想と呼んでいいでしょう

32 たまミス(「たまにはミステリくらい読むわよ」) 30 自在眼鏡の本棚

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沢村浩輔『夜の床屋』(創元推理文庫)。

山道に迷い、無人駅で一夜を明かすことになった若人ふたり。人影もない駅近くで、深夜ふいに理髪店に明かりがともる。
訝しむ彼らがその理髪店のドアを開けると、そこは深夜にお得意さんのために店を開くのだという。
はたして、彼らはそこで散髪をしてもらうのだがーー。
第4回ミステリーズ!新人賞受賞作を巻頭に置いた連作ミステリ短編集。

解説の千街晶之いわく、

読者は『今、自分が読み終えた小説は一体何だったのか』と茫然とするに違いないのだ。
こんな途轍もないことを思いついた発想力と、それを成立させた構想力への感嘆とともに。

なるほど、各話の出だしはハードルが低い。すんなりと日常からつづくシーンに溶け込んでいく。子どもたちに誘われて工場跡地へいくのも、部屋から忽然と絨毯が消えてなくなるのも、山道で道に迷うのも。
そして導かれていくのは、意外としかいえない結末だ。
立ち現れるまったく予期せぬ風景。

その風景に茫然とするのは、ぼくだけではないだろう。

夜の床屋 (創元推理文庫)

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北半球の南十字星 (ミステリ・フロンティア)

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