読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【折々の本棚 #110】小林信彦『面白い小説を見つけるために』は、小説好きなら一度は目を通したらいいと思うよ

f:id:zocalo:20150519223920j:plain

小林信彦『面白い小説を見つけるために』(知恵の森文庫)。

写真では新潮文庫の『小説世界のロビンソン』(絶版)を大写しにしているが、基本的には『ロビンソン』の復刊が『面白い小説』になっている*1

先日、谷崎潤一郎全集の話をしたが、小林信彦は谷崎の小説のファンである。彼の「読書日記」にもしばしばそういう記述が登場する。この本の後半に、谷崎の章をたっぷりと立てているから、今回の全集にあたって(いや、あたらなくとも)は予習のつもりで読んでおいたらいいと思う(ぼくにだけ必要なのかもね)。

・・・思うが、だ。
それをさておいても、つまりは谷崎小説の勉強のためということではなく、この『面白い小説』は、小説が好きな向きは一度は読んでおくべきだろうと思う。

要するに小説読み方指南なのではあるが、

幼いころからの書物との幸福な出逢い、数々の小説へのぼくののめり込みようの個人史をこまかく、かつ微妙に記すことによって、最終的に〈小説とは何か〉という感覚を読者に伝えられれば、というのがぼくの願い

で、書かれた。

ここでは、純文学はエンタテイメントと同列であり、本のジャンルの幅広さは並大抵ではない。
それでいて教条的でなく、あくまでも個人的。押しつけがましくない。スティーブン・キングプルーストが肩を並べている。
せっかくなので、ここにあげられている本は全部読みたいくらい。

積ん読王としても、こういうのをいつか書きたいなあとしみじみ思うのであります。

面白い小説を見つけるために (知恵の森文庫)

面白い小説を見つけるために (知恵の森文庫)

*1:復刊に当たっては一部章が省かれている。