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積ん読王の 自由画帖

〈読み、考え、旅をし、見て、話して、書く〉同時代ノート。

【同時代ノート】阿川佐和子さんに感じた「人がアドバイスしたくなるキャラ」

20 同時代ノート

一年以上前に受けていた、セルフブランディング講座は、受講中楽しみながらも、ぼくとしてはずいぶん難渋してました。
そこで教えられる「セルフブランディングのためのテクニック」というのは、思ったほど奇を衒ったものではないし、難しいことはあまりありませんでした。

ではなんで難渋したのか。その理由はおそらく次のふたつ。

  • 自分の好きなことを見つけること
  • それを他者に向けて、根気強く情報発信しつづけること

だと思う。
これ、セルフブランディングの根幹に関わるところですが、少なくともどちらかには当てはまる人はけっこういるんじゃないか。
ぼくはふたつともでした。とくに前者。

ぼくは自分の好きなことが見つけられずに、いまも四苦八苦、五里霧中です。本のことはいろいろと書いていますが、「好き」という自覚がない。強いて言うなら、「得意」。
「好きなこと」と「得意なこと」は明らかに違う。この点は、たしか講座の先生も明確におっしゃっていた。
もう自分には、自分自身が好きなことなんて一生解らないんじゃないかと思ったりしながら、こうしてぽつりぽつりとブログを書いています(苦笑)。

以前、尊敬する方のブログで、こんなことが書かれていた*1

6月22日のフジテレビ「ワンダフルライフ」
http://www.fujitv.co.jp/wonderful-life/010.html
という番組がよかった。
リリー・フランキーさんがメインをつとめ、ゲストは阿川佐和子さんである。自然体で生きる二人の対談だったので、まったく力みがなく、ついつい引き込まれてしまった。阿川さんは言う。

「私は何者なんだ、何屋なんだ…原稿もちょっと書きます、親の七光りでテレビに出ました、『で、何やりたいの?』っていうと、『いや、別に~』って感じ。
『1つくらい専門を持ちなさい』って、色んな人が言うんですよ。親も言ってましたけど。
『この問題に関しては、阿川佐和子の 右に出る者はいないっていう人間になったら、必ず強みになる』って言われて。
なるほどね~って思ったけど、大変そうだなと思って、それもできない。
じゃあ 何もやらないかっていうと、『ちょっと映画出ませんか?』って言われると、
『えっ、私が? できませんけど~、やりましょうか。』っていう風にして、
『小説書いてみない?』『いや~、できないと思うけど…ちょっとやってみようかな。』っていう風にして、積み重ねてきた人生だったから、『お前は何屋だ』っていわれた時に、何の能力もないって思って…。
今だって多少思ってますよ。父からは、専門をひとつつくれ、と言われましたが、結局、なんの得意もつくれずに……。
だけど、ある時ある人に、
『誰もが専門家になり、誰もが立派な人間になったら、世の中味気ないじゃん。君は専門家じゃないし、立派な人間でもない。だけど、立派な人間と別のジャンルの立派な人間の橋渡しをする仕事は、もう十分やってるよ』って言ってくださった人がいて。
なんかこう…『あ、良いんだ』って、そのポジショニングでも卑屈になる必要はないのかなって、ちょっと安心した時はありましたね」
(中略)
この点については、リリーさんも、イラストレーター、ミュージシャン、構成作家、ラジオナビゲーターなど多方面で活躍しているかたで、「僕も小説家からは俳優のくせに……と言われ、俳優からは小説家のくせに……って言われる」と笑って答える。
 その道の専門家たちから、門外漢のように言われるお二人だが、お二人ともにこだわりはなく、どの道についてもプロフェッショナルになる気はないという。

なんだろう、この人がかもしだす緩さは。さらにこのインタビューにつづいて「向上心も持たない」とも断言しちゃってるし(笑)。
先日、御尊父の阿川弘之さんがお亡くなりになって、そのさいに報道陣をまえに発表した挨拶も秀逸だったことを思い出します。www.asahi.com

阿川さんには、もともと好きなことが見つからないという。
しかし、いやそもそも見つけようという意欲があったのかどうか。
でも人に勧められてトライしていったことが呼び水になって、また別のことをやっていくうちに、自然といまのポジショニングにおさまっていった。
俗に言う、「人には添うてみよ、馬には乗ってみよ」というやつですね。
こういう人の生きる姿勢を見ると、「好きなこと」が見つけられない自分にも、少しヒントをもらったような気がします。

でもここで肝腎なことに思い至ります。
「人には添うてみよ、馬には乗ってみよ」というのは、裏返せば(返さなくとも)自分自身が他人からなにか勧められるような人であることであり、いろいろとアドバイスしてくれる人を惹きつけるようでなければならない、ということですよね。

他人からアドバイスされなければ、アドバイスしたくなるようなキャラクタでなければ、乗れる馬も差し出されることはない、ということなんですよね。

拳拳服膺。

*1:掲載許可済。なお引用者にて適宜改行および編集を施した。